IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。
地球温暖化による大雨の激甚化など起きていない。
今回のIPCC報告はそれをはっきり書いている。
政策決定者向け要約にある図SPM.3がそれを示している(訳は気象庁)。
図中、世界地図が模式的に示してある。日本を含む東アジアはEASと省略してある。
そこが緑に塗ってあるのは、大雨の増加が観測された地点があった、ということだ。
その一方で、1つだけ黒い丸(●)が打ってあるのは、「人間の寄与の確信度は低い」という意味だ。
つまり大雨が増加した地点はいくらかあるものの、自然の変動などもあり、人為的な温暖化によるものとは言えない、ということだ。
日本以外の地域を見ても、殆どが「人間の寄与の確信度は低い」となっている。
大雨のたびに温暖化のせいにする人がいるが、IPCCはそんなことは言っていない。
1つの報告書が出たということは、議論の終わりではなく、始まりに過ぎない。次回以降も、あれこれ論点を取り上げてゆこう。
次回:「IPCC報告の論点⑦」に続く