<主なポイント>
〇21年2Qの実質GDP成長率は、前年比+7.9%と、前期(同+18.3%)に比べ低下したが、高い伸びを示した。21年前半の19年同期比2年平均伸び率は+5.5%と1Qの伸び(同+5.0%)を上回り、コロナ感染拡大前(19年)の伸び率に近づいている。
〇足許の回復は、引き続き輸出の伸びが高い一方、内需の回復がやや鈍いことが特徴。先行きについては内外需ともコロナ次第で大きく変化する可能性が高い。
〇輸出は、コロナの影響で生産の回復が遅れている他国の生産を代替する状況が予想以上に長引いているほか、欧米諸国でのワクチン普及による経済回復を背景に米国、欧州向けの伸び拡大等の要因も加わり、高い伸びが続いている。
〇投資は、製造業設備投資が設備稼働率と企業収益率の高まりから民間企業を中心に積極化した。インフラ建設投資は地方政府の慎重姿勢が続いているほか、不動産開発投資は昨夏以降続く政府による過熱抑制策の影響から、伸びの拡大が抑えられた。
〇消費は、3月以降の経済正常化を背景に所得の回復傾向が続き、飲食、旅行、小売等サービス業が急速な回復を示し、消費財小売総額も着実な回復傾向を持続した。
〇中国ではコロナ予防に関する極めて厳格な管理体制が徹底されているため、感染力の強いデルタ株が流入しても、クラスターが急速に拡大するリスクは小さいと見られている。これが中国経済の順調な回復持続の支えとなっている。ただし、予防のための厳格な移動制限等の措置による消費や投資への影響はある程度避けられない。
〇米国・欧州企業はコロナ禍の下、対中投資の積極姿勢を強めている。日本企業も基本的には同じ姿勢だが、平均的には日本企業は欧米企業に比べて慎重な姿勢。
〇4月時点で積極的な投資姿勢を維持した日本企業はその方針を変更することなく、中国ビジネスに積極的に取り組み続けている。一方、本社サイドが強い慎重姿勢を示した企業は、今も本社の慎重姿勢に変化が見られず、引き続き慎重論が根強い。
〇中国に進出している欧州企業の団体である、中国欧州商工会議所は6月に会員企業向けアンケート調査の結果を公表した。それによると、中国事業の利益率が世界平均を上回ると回答した企業の比率は20年の38%から21年は51%へと急増。先行き2年間の中国ビジネスに対する見通しについて、楽観的であると回答した企業の比率は、20年の48%から21年の68%へと急伸。