メディア掲載  エネルギー・環境  2021.08.11

「脱炭素」は嘘だらけ①(夕刊フジ連載)

エネルギー・環境

・経済負担をひた隠しにする政府

・消費税20%と匹敵する経済負担

・世帯電気代は年間60万円に

・庶民は〝反乱〟すべきだ

菅義偉政権は今年4月の気候サミットで、CO2(二酸化炭素)の排出量を2050年までに実質ゼロにする、つまり「脱炭素」をするとした。

政府はこの脱炭素を「グリーン成長」によって、経済と環境を両立させて達成する、などと奇麗ごとを言っている。だが、「脱炭素」とは、石油もガスも石炭も禁止するということだ。経済が大きな打撃を受けることは容易に想像がつく。

政府はさらに、30年には13年比でCO2を46%削減すると国際公約してしまった。これは従前の目標であった26%から20%もの深掘りだ。

いまの日本のCO2削減は13%ぐらいだから、ここから33%も10年で削減する約束になっている。止まっている原子力発電所をすべて再稼働させても、ようやくギリギリ26%というところ、大変な約束をしてしまった。

これまでの太陽光発電の実績では1%の削減のために毎年1兆円の賦課金を国民が電気代への上乗せとして負担している。つまりこのペースでできるとしても、20%の深堀りには毎年20兆円が追加でかかる。

これは、くしくも今の消費税の総額に等しい。ということは、「脱炭素」は30年までに消費税率を20%に上げるのと同等の国民負担になる。仮に、これがすべて家庭の電気代に上乗せされて徴収されるとなると、世帯あたりの電気代は現在の年間約12万円の5倍の60万円になる。9年後、あなたは払えますか?

海外では、負担が明確になるにつれ、脱炭素への反乱がはじまった。

スイスでは、30年までにCO2を半減するという「CO2法改正案」が、国民投票で否決された。反対派は「CO2法に反対する経済委員会」を組織してキャンペーンを展開した。ポスターには「お前、頭、大丈夫か? また税金だって? 高くて、役立たず、不公平。誤ったCO2法にノー」とあった。これで形勢が逆転した。

英国政府は、14年後の35年までに今からCO2を6割カットするという、これまた無茶な目標を立てた。この達成のためとして、家庭の暖房において、いま主流であるガスを禁止して電気式のみにする、さらにはガソリン自動車を禁止して電気自動車のみにする、といった施策を政府は検討した。

だが、その費用が世帯当たりで数百万円に上るという試算が明るみに出ると、ボリス・ジョンソン政権のお膝元、保守党のスティーブ・ベイカー元ブレグジット担当閣外相が公然と反旗を翻した。ベイカー氏は大衆紙サンに「脱炭素―ガス使用禁止で貧しい人が寒さに震える」と題した記事を書き、このままでは大増税になり、政治危機になる、訴えた。

夕刊フジ読者諸賢、いますぐ政府に経済負担を問い糾すべきだ。「脱炭素政策」に“反乱”を起こさないと、46%の数値目標達成のためとして、経済活動は規制され、重い税負担が課される。