レポート  エネルギー・環境  2021.05.24

低炭素社会実行計画について- 経産省・環境省合同会合(第5回)におけるキヤノングローバル戦略研究所 杉山研究主幹委員意見

日本の地球温暖化対策の見直すために設立された経済産業省・環境省の審議会の合同会合(第5回)が4月26日にウェブ開催されました。委員であるキヤノングローバル戦略研究所 杉山研究主幹は書面および口頭で意見を述べました。

エネルギー・環境

1. ワーキンググループの概要および資料:


中央環境審議会地球環境部会 中長期の気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会 地球環境小委員会地球温暖化対策検討ワーキンググループ合同会合(第5回)


令和34月26日

出典:経済産業省ウェブサイト


2. 杉山研究主幹口頭意見

1. 2030年の数値目標について
・気候サミットで日本は「46%を目指す」としたが、これは現時点での努力目標と理解すべきである。
・大事なのは具体的な政策である。これについては、エネルギー安全保障と経済について考慮しつつ、一つ一つその妥当性を検討すべきである。
・その結果の積算はすぐに 46%になるとは思えない。だが、帳尻を合わせることを性急に目指すべきではなく、手堅く検討を積み重ねるべきである。
・米国は議会の反対で大幅なCO2削減は出来ない。中国はCO2を大幅に増大させる。かかる現実に照らし、強引に 46%を目指すべきではない(5の添付資料を参照)。


2. 温暖化対策にかかる費用について、政府は明確にするべきだ。

・再エネ全量買い取り制度の実績を参考にすると、1%のCO2削減のために、毎年1兆円程度の費用がかかっている。(毎年約3兆円の賦課金で、約3%のCO2削減)
・26%から46%まで深堀りするとなると、その差は20%である。単純に計算しても、追加で毎年20兆円の費用がかかることになる。人口1億人とすれば、追加で毎年1人20万円、4人家族世帯であれば80万円となる。莫大な負担になる
・どの程度の費用がかかるのか、政府は明確にして国民に示すべきである。


3. 「政策のカーボンプライシング」を実施すべきである

・温暖化対策の費用の高騰を防ぐための制度設計として、一定の「炭素価格」を設定し、それに基づいて具体的な政策一つ一つの費用対効果を分析して、政策を合理化する指針にすべきである。
・2017年の地球温暖化対策プラットフォーム報告書では、日本の温暖化対策費用は、すでに1トンあたり4000円を超えている。

これ以下については添付の「書面意見」をご覧ください。


本稿は個人の見解です。

筆者ホームページ キヤノングローバル戦略研究所

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杉山研究主幹 書面意見