◇ 21年1Qの実質GDP成長率は、前年比+18.3%と前年同期(同-6.8%)の大幅な減少の反動から、極めて高い伸びを示した。
◇ コロナの影響で生産の回復が遅れている他国に代わり中国が生産を代替する状況が続いているほか、経済が回復傾向にある米国、欧州向けの伸び拡大等の要因も加わり、輸出が3四半期連続で高い伸びを示した。生産代替による輸出押し上げは本年前半まで続き、年後半にはコロナ感染の鎮静化とともに減少に転じると予想されている。
◇ 投資は民間設備投資の勢いがやや鈍化し、投資全体でも伸び率がやや鈍化した。
◇ 消費はコロナ感染防止策の成功を背景に、とくに3月以降、飲食、旅行、小売等サービス業が急速な回復を示したほか、消費財小売総額も順調な回復傾向を持続した。
◇ 昨年12月以降、北京、上海等複数の主要都市でクラスターが発生したが、厳しい移動制限措置が奏功し、コロナ感染が鎮静化。3月に入ると、経済が正常化し、消費、投資とも3月以降、目覚ましい回復を示している。
◇ 先行きのリスクとしては海外、とくにインドでのコロナの長期化が懸念されている。
◇ 4月以降、日米欧の各企業団体ではホテルの宴会場で年次総会後の立食パーティーを開催し、マスク着用なしで数百名が出席し、普通に談笑した。レストランでの会食も人数制限が解除され、マスクを着用せずに10人以上の会食も自由に行われるようになっている。人気レストランは常に満席状態で予約なしでは食事ができない状況。中国の経済活動の正常化の状況は、日本の現状と比べると別世界である。
◇ 最近、日本は米国とともに中国に対して厳しい外交姿勢を示しており、日本のメディアはこの点を大きく取り上げた。一方、中国政府の日本に対する批判声明は抑制的であり、中国のメディア報道でも小さな扱いだったため、中国国内の関心は低い。
◇ 大半の日本企業の本社では日中関係悪化を懸念し、中国事業戦略の見直しについて中国現地責任者に打診している。これに対し現地側は、今のところ影響は皆無、中国各地の日本企業に対する積極的誘致姿勢に変化は見られていないと回答。日本企業幹部の地方政府高官との面談等も予定通り実施。各社とも本年の対中投資計画、中国事業戦略を修正する動きは見られていない。ただし、先行きについて、一部の企業では、本社サイドの慎重な姿勢の影響もあって、積極的な姿勢を打ち出しにくい模様。
中国経済は3月以降ほぼ正常化、通年では消費主導の回復へ ~日中関係は悪化の方向ながら経済面への影響はほぼ皆無~ <オンライン方式等による北京・上海面談報告(2021年4月19日~30日)>