地球が温暖化しているといっても、ごく僅かにすぎない。気温の自然変動は大きい。
以下、MITの気候学の第一人者リチャード・リンゼンと元NASAで気温計測の嚆矢であるアラバマ大学ジョン・クリスティによる解説を紹介する。
我々が通常目にする「地球温暖化」のグラフは図1のようなものだ。
図1:いわゆる「地球温暖化」のグラフ
データはバークレー大学のもの。空間的には地球全体で平均化され、時間的には前後11年の平均(移動平均という)が施してある。このようなグラフは、「地球温暖化が起きています!」というためによく使われる。
けれども、この縦軸を見ると、じつは地球温暖化は120年で僅か1.2℃に過ぎない。
1.2℃というのは、人間が感じることのできるギリギリの気温差ではなかろうか。筆者には、少なくとも、区別できない。
だが図1では、あまりたいしたことのない気温の上昇が、さも一大事であるかのように見える。
トリックは「平均操作」にある。一つ一つの観測所のデータを見ると、じつは自然変動はものすごく大きい。その時間的な傾向も、観測所ごとに全く異なり、気温が上がるところ、下がるところ、様々である。
図2で、それを端的に見ることができる。「観測所ごと、かつ、季節ごと」の気温の平年からの差分を見ると、プラスマイナス4℃ぐらいあるのはごく普通のことだと解る。言い換えると、例えば、「今年の冬は例年より4℃も寒かった」などということは、頻繁に起きてきた訳だ。
このように、「空間的な平均」を取るのをやめ、「時間的な平均」の期間を短くすると、「120年で1.2℃の地球温暖化」なるものは、人々が感じている日々の気温の変化とは、全く関係のないものだと理解できる。
図2:「観測所ごと、かつ、季節ごと」の気温偏差(黒丸)。黄色四角は地球平均。
最後に、この1.2℃の地球温暖化を、人々が日々感じつつ、しかも何の問題も無く対処している大きな気温差と比較したのが、図3である。
図3:人々が日々感じて対処している気温上昇の大きさと、過去120年の地球温暖化との比較。
ここでは「1.2℃の地球温暖化」は線の太さぐらいしかない。図中に示してある「8時から10時の気温上昇」、「日没から午後までの気温上昇」、「1月から7月の気温上昇」などの方がはるかに大きい。
「1月と7月の平均気温の差」はわりと過ごしやすいロスアンジェルスでも10℃もあり、寒暖の激しいシカゴだと30℃にも達する! 「年間で最も暑い時と最も寒いときの気温差」は、海に近いマイアミでも25℃もあり、内陸のデンバーだと55℃にも達する!
気温の自然変動はとても大きいのだ。
観測される大きな気温差を、地球温暖化のせいにするのは、完全なる間違いだ。