メディア掲載 エネルギー・環境 2021.03.26
月刊「WILL」2021年4月号に掲載
「温暖化対策に協力」の見返りに「人権や安全保障で口を出さない」でいいか。
オバマ政権の大失敗
櫻井よしこ氏(国家基本問題研究所 理事長):
バイデン大統領は就任初日、トランプ政権下で米国が離脱した「パリ協定」に復帰する大統領令に署名しました。バイデン政権は環境政策に力を入れると明言していますが、中国が温暖化対策に協力するというカードを利用して、米国に人権問題や安全保障で譲歩を引き出すのではないかと懸念しています。
杉山大志(キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹):
悪しき前例をつくったのはオバマ政権ですね。オバマ氏は任期終盤、人類の歴史に残る「レガシー」を残そうとして、温暖化問題に目をつけました。国際合意をとりつけるためには、米国と中国が参加しなかった京都議定書を超えるものをつくる必要がある。オバマ政権は中国と交渉を行い、2015年6月にCO2削減の数値目標を設定。これを契機に国際合意の機運が一気に高まり、同年12月にパリ協定が合意に至りました。