一般財団法人・国際貿易投資研究所(ITI)の令和2年度中国研究会「グローバルガバナンスにおける中国の戦略とその影響力~2020年の中国経済政策及び今後の展望」に参加し、報告書の一部「第5章 中国の金融・財政構造の変化と将来展望」を執筆しました。
要旨
中国の金融・財政システムは潤沢な資金提供を通じて、同国の高度経済成長の実現に大きく貢献してきた。それを可能にしたのは、銀行業金融機関の抜本的な改革と資本市場育成の努力であった。ただし、経済成長速度が鈍化するにつれて、隠れていた金融リスクが顕現化する兆しをみせている。中国政府は金融リスク管理体制の強化と中央・地方政府間の財政予算配分の見直しなどを軸に、経済の中・低成長への安定した移行のための足場固めに注力しているが、その過程で、市場化改革の歩みが遅れているようにみえる面もある。
国民の改革への支持を鈍らせず、民間の力を改革に活かすためには、中国政府が政策に関する発信を強化するとともに、広く意見を聴取し、それを政策に織り込んでいくことが求められよう。また、同国は中長期的に国際金融分野においても発言力を確保することを目指しているが、情報開示の拡大は諸外国や国際機関の理解を得る上でも重要であろう。
詳しくは、ITI調査研究シリーズNo.111をご覧ください。(外部のサイトに移動します)