メディア掲載 エネルギー・環境 2021.01.21
一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター 隔月刊「エレクトロヒート」 No. 235 (2021) に掲載
菅首相が 2050 年に CO2 をゼロにすると所信表明演説で宣言してしまった。日本人は出来もしないことを言うのは恥だという感性があると思っていたが、どうやら筆者の思い過ごしだったようだ。まあゼロというのは李白の「白髪三千丈」みたいに勢いで言った数字で、要は温暖化対策を真面目にやりましょう、ということであろう。それならば筆者も賛成する。一国の首相が勢いで数字を言うのはやはりどうかとは思うが・・・
さて本題。温暖化対策というと、石炭やクルマを想起する人が多いが、意外や意外、じつは食べ物が温室効果ガスの3分の1を占めている。発生源はどこか。まずは森林を伐採すると、CO2 が出る。肥料と農薬の製造には石油を使う。トラクター、トラックは石油を使う。スーパーの空調や照明エネルギーを使う。冷蔵・冷凍でも、加熱でもエネルギーを使う。水田はメタンを放出する。全部足すと温室効果ガスの3分の1は食べ物の供給に関係することになる。数え方によってはもっと多く、半分になるという意見もある。
食というのは人間の基本的営みだから、それに関係する温室効果ガスが多いというのも、説明されると成程、と納得する。さてこの温室効果ガスをどう減らすか・・・