メディア掲載  財政・社会保障制度  2021.01.19

コロナをチャンスに、カギは新陳代謝

月刊『地方財務』(株式会社ぎょうせい)2021年1月号に掲載

税・社会保障 新型コロナウイルス

1.2020年の三大ニュース


(1)新型コロナウイルスの発生による財政拡大と徴収猶予・減免

新型コロナウイルスにより、私たちの生活は一変した。国や自治体の行政は特別定額給付金や持続化給付金、雇用調整助成金、Go Toキャンペーンなどのあらゆるコロナ対策に追われた。その費用は第1次補正予算、第2次補正予算で組まれ、この年末には第3次補正予算も閣議決定された。2020年度の一般会計税収は、当初は63.5兆円と見積もられていたが、第3次補正予算では55兆円程度になるとされており、新規国債発行額は112兆円を超える予定である。コロナ禍において、国民の救済と日本経済の安定は大事だが、先進諸外国よりも群を抜いて、長期債務残高が高い日本の財政にとっては、多額の国債の発行は大きな痛手である。

同時に、事業収入や給与収入が減少した国民や事業者に対して、国税や地方税の徴収猶予および国民健康保険料(税)の減免などの措置も行われた。地方税の徴収猶予は、20202月1日から2021131日までに納期限が到来する個人住民税、地方法人二税、固定資産税などほぼすべての地方税の税目(証紙徴収の方法で納めるものを除く)が対象で、これらのうち、すでに納期限が過ぎている未納の地方税(他の猶予を受けているものを含む)についても、遡ってこの特例を利用することが可能である。総務省の20201116日の報道資料によると、地方税の徴収猶予の適用は、20204月から9月までの半年間で、184,744件、税額にして2520700万円となった。また、自治体によっては独自財源や基金の取り崩しによって、コロナ対策を実施しているところもあり、国も自治体も厳しい財政に直面している・・・

全文を読む

コロナをチャンスに、カギは新陳代謝