メディア掲載  エネルギー・環境  2020.12.28

環境運動家は中国共産党の「使える愚か者(useful idiots)」なのか

Daily WiLL Online HPに掲載(2020年12月23日)

エネルギー・環境

英国で発表された「紅と緑――中国の使える愚か者」という報告が話題を呼んでいる。以下でポイントを紹介しよう。

著者のパトリシア・アダムスは戴晴の著書『三峡ダム』の英訳を手掛け、自らも三峡ダムに関する本を出版するなど、中国の環境運動と民主化運動に関する研究活動を続けてきた。

中国共産党の危険性は、今や欧米でも日本でも周知である。それにも拘わらず、未だにそれに見て見ぬふりをしている巨大な例外がある。環境運動家とその資金提供者である。

彼らは、最上級の言葉を使って、中国の環境対策を称賛しつづけている。

例えばグリーンピースは「持続可能性を優先したことは、世界における中国の遺産を確固としたものにするであろう」と述べた。世界自然保護基金(WWF)は、「習主席が発表した新たな目標は、世界の温暖化対策を一層強化することについての、中国の揺るぎない支持と断固とした措置を反映している」と述べた。天然資源保護評議会(NRDC)のバーバラ・フィナモア氏は『中国は地球を救うか』と題した本を執筆して中国の環境対策を賞賛した。

他方で、2017年に外国NGOを規制する法律が施行された後、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチのような人権団体は、中国国内における活動を事実上禁止された。

環境NGOは中国での活動を許されている。だが共産党政府は、彼らの中国での活動を監視し、コントロールをする権限があり、環境運動が政府への批判や民主化運動に転じることを阻止している。

環境運動家は、中国が「地球を救うという大義」を掲げさえすれば、南シナ海での中国の侵略や本土での人権侵害に目をつむってしまっている。諸外国から非難を浴び続けている中国にとって、環境運動家が好意的であり賞賛を惜しまないことは、貴重な外交的得点になっている。環境運動家は、共産党の応援団となっており、その危険性から注意をそらすのに役立ってしまっている。だからこそ、中国は欧米の環境運動家を喜んで受け入れている。

レーニンはかつて「共産主義者では無いのに、本人も無自覚の内にコントロールされて共産主義者の役に立ってしまう者」のことを「使える愚か者(useful idiot)」と言った。日本でも中国の環境対策をやたらと持ち上げる報道が多いが、いままさに、環境運動家は中国共産党の「使える愚か者(useful idiot)」になっているのではないか。