地球温暖化の危機を避ける、あるいは緩和するために、世界各国はクリーンエネルギー転換を推進している最中、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生し、様々な不確実性をもたらした。感染症対策に伴い、経済活動の中断による需要の減少は、各エネルギー源に異なるインパクトを与えている。国際エネルギー機関(IEA)の最新分析によると、2019 年と比べて、2020 年における世界のエネルギー消費には、石油、石炭、天然ガスと原子力エネルギーがそれぞれ 8.5%、6.7%、3.3%と 4.5%減少するに対して、再生可能エネルギーのみが 0.9%増加すると見込まれている。一方、エネルギーに関連する投資が 2019 年より約 2 割減少する中で、再開する経済活動は既存のエネルギーインフラに依存し、化石燃料消費のリバウンドを引き起こす可能性が否定できない。そのため、西欧諸国中心にグリーン・リカバリー政策を打ち出して、エネルギーのクリーン転換の加速を世界に呼び掛けている。本稿では、世界最大のエネルギー消費国であり、最初に COVID-19の影響を受け、また一番早く経済回復を実現している中国について、エネルギー消費の動向を分析し、ポストコロナ時代のエネルギー転換を展望する。