ワーキングペーパー  グローバルエコノミー  2020.09.10

ワーキング・ペーパー(20-007E)Japan’s Voluntary Lockdown

経済理論 新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの感染拡大に対して日本政府は緊急事態宣言を含む施策を行った。本稿では日本政府の施策がどのようなメカニズムを通じて国民の行動変容を引き起こしたかを検討した。スマホの位置情報データを用いて、人々のステイホームの度合いを示す指標を、県別に日次で作成した。その上で、各施策の開始と終了のタイミングが各県で異なることを利用して、各施策が行動変容を引き起こすチャネルとして、(1)国民が政府からの要請に従い外出を抑制する効果、(2)国民が政府の施策のアナウンスメント等をもとに感染状況に関する認識を更新し、自発的に外出を抑制する効果の2つを識別した。本稿の主要な結果は以下のとおりである。第1に、緊急事態宣言は第1のチャネルを通じて外出を8.6%減少させた。この値は、米国のロックダウンのデータを用いたGoolsbee and Syverson (2020)の結果とほぼ同じである。第2に、各県における新規感染者数が1%増加すると、その県の人々の外出は0.026%減少した。第3に、東京都の外出抑制のうち政府の要請が寄与したのは約4分の1であり、残りの約4分の3は政府のアナウンスや日々発表される感染者数など、感染に関する新たな情報を受け取った国民が、感染のリスクをアップデートしたことによって生じた。本稿の分析結果は、感染封じ込めに必要なのは法的拘束力の強い措置ではなく、人々の行動変容を促す適切な情報の提供であることを示唆している。

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ワーキング・ペーパー(20-007E)Japan’s Voluntary Lockdown