今回の最高裁判決を受けて、私たちに必要なのは、ふるさと納税の捉え直しである。
寄附を通じて自治体を応援したいというふるさと納税の創設当初の純粋な目的に立ち返ることが必要なのではないか。ふるさと納税は自治体の応援策、地方創生策であるとしたときに、これまでは個人版ふるさと納税ばかりに注目が集まってきたが、企業版ふるさと納税も含めて、ふるさと納税の次の段階を見据える必要がある。
企業版ふるさと納税は、地方創生の手段のひとつとして平成28年度に4年間の時限措置で導入された。令和2年度税制改正で5年間延長され、税額控除の拡充が図られた。
さらに、新型コロナウイルス感染症の発生により、新しい生活様式を模索する中、東京一極集中を是正する策として、令和2年7月に「企業版ふるさと納税・ヒト版(仮称)」の創設が公表された。本稿では、地方創生策として期待される企業版ふるさと納税について検討する。