コラム  グローバルエコノミー  2020.08.25

中国経済は新型コロナ後の回復を持続 ~日本企業は現地子会社に対して中国事業の年間収益計画の上方修正を要請~ <オンライン方式等による北京・上海等面談報告(2020年7月17日~30日)>

中国経済 中国

 20年2Qの実質GDP成長率は、前年比+3.2%と急回復(1Qは同-6.8%)を実現。3月以降、新型コロナ感染の抑え込みに成功し、6月以降、経済はほぼ正常化。

 2Qの急回復は外需と投資が牽引した。消費はコロナの影響を大きく受けた旅行、飲食、小売り等の不振が響き、マイナスの伸びとなった。

 好調業種は、インフラ建設、不動産開発、金融、IT・デジタル化関連、医療衛生等大企業中心の分野である。一方、不振業種は飲食、旅行、小売など中小企業中心の分野が多い。このため、大企業の相対的に高所得層の人々はコロナ感染から受けるダメージが小さい一方、中小企業の相対的に低所得層の人々が受けるダメージは大きい。

 2Qの景気回復の主力エンジンはインフラ建設投資と不動産開発投資だった。本年下期もこの2つが回復を牽引すると予想されている。設備投資については、中国経済のグローバル化が急速に進展し、以前より世界経済の影響を受ける中国企業が増え、世界経済の回復の遅れが中国企業経営者の投資マインドを慎重化させている。

 下期の経済は、コロナ予防・制御に対する自信から消費が徐々に回復に向かい、足許不振が続く一部のサービス産業も含めて本年4Qには正常化するとの見方が多い。ただし、外需の停滞、コロナ感染再拡大、雇用問題等先行きのリスクが指摘されている。

 中国政府は中小企業金融の機能向上に一段と力を注ぎ、中小企業の倒産防止と雇用確保を目指している。しかし、中国の中小企業は平均寿命が3年と短く、経営が不安定な企業の比率が高いため、貸し倒れリスクが極めて高い。このため信用保証制度も機能しにくく、中小企業向け融資の確保に苦慮している。

 日本企業、欧米企業ともに最近の米中対立の深刻化を懸念してはいるが、巨大かつ投資環境の良い中国国内市場を最重視する基本姿勢には変化が見られていない。

 日本企業の対中投資姿勢は強気の企業と弱気の企業に二極化している。積極姿勢の企業では、本社が今年の中国業績目標の引き上げを打診する事例が増えている。

◇ 日本政府は4月に日本企業の国内回帰促進策を出したが、これに応じる企業は一部の中小企業だけで、日本企業全体の対中投資積極姿勢には殆ど影響が見られていない。

 中国国内の乗用車販売台数に占める日本車のシェアは、日中関係改善や日本車の品質に対する評価の高まりなどから、17年の17%から本年7月は26.2%へと急上昇。

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中国経済は新型コロナ後の回復を持続 ~日本企業は現地子会社に対して中国事業の年間収益計画の上方修正を要請~ <オンライン方式等による北京・上海等面談報告(2020年7月17日~30日)>