メディア掲載  財政・社会保障制度  2020.07.09

特別定額給付金の実態から給付方法とマイナンバーを考える

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)
特別連載コラム第2弾 「コロナ後の社会と公共政策」に掲載

コロナ禍の国民生活を守るために、10万円の特別定額給付金が実施された。政府は一刻も早く国民を救済したいという思いから、今回は紙の申請だけでなく、マイナンバーカードによるオンライン申請も実施されたが、多くのトラブルが発生し、世の中は混乱した。

かなり長い間、混乱は続いたが、2020年7月1日までに総世帯数の74.4%まで給付された。2009年の定額給付金よりも相当に速いペースで給付されている。ここまで大事に至らずに山場を越えられたのは、この数か月、過酷な状況を強いられた国、自治体、郵便局、金融機関、IT事業者、事務委託業者の努力によるものだったと言える。

国の給付業務を自治体に委託するのは、その方が効率的に給付できるからであるが、今回の特別定額給付金は、給付を急ぐあまり、政府が自治体の現状を把握しきれないまま、見切り発車してしまった感がある。

なぜ混乱が起きたのか。申請という入り口をオンライン申請と紙の申請の2系統にしたために、給付という出口をひとつにまとめなければならなくなったこと、その上、その申請の1系統は、今までやったことがないマイナンバーカードによるオンライン申請という新しい方法を導入したこと、さらに、その初めての取り組みを実施するシステムが整っておらず、急ごしらえで対応したことである。マイナンバーカード制度を作った時には、広く国民に給付するというマイナンバーカードによるオンライン申請はもともと想定されていなかったので、今回の導入に際し、国民が利用できるように慌ててシステムを整備する事態となった。政府の国民に対する思いは純粋であったし、オンライン申請は機能すると思っていたようだが、オンライン申請は時期尚早だったと言わざるを得ない。

特別定額給付金は、全国一律に給付することが目的で、兵站と同じような迅速性と確実性が求められた。トラブルを避けるためにも、業務で使い慣れているバーコードやQRコードを印字した紙の申告書のみにして、全国で運用を統一するのが最善だったと考えている。

こんなに多くの労力とコストをかけて行った特別定額給付金の取り組みなので、次につなげるためにも、特別定額給付金の実態を概観し、給付方法とマイナンバーについて考えてみる。・・・

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全文はこちら→特別定額給付金の実態から給付方法とマイナンバーを考えるPDF: 289.9KB