メディア掲載  外交・安全保障  2020.07.08

韓国の「国防外交」―「国家生存」 から「多様な国益実現」の手段

笹川平和財団の 「日本の防衛外交研究事業 国別事例調査報告書シリーズ」より転載(2020年6月23日)

 本研究報告書は、笹川平和財団安全保障研究グループが行っている「日本の防衛外交研究」の一環として、当研究所研究員の伊藤弘太郎が韓国の防衛外交事例についてその歴史と現状についてまとめたものである。


<要旨>

○ 防衛外交とは「平時における外交・安全保障政策の手段として、軍隊と関連のインフラストラクチャーを協力的な用途で使うこと」である。

○ 韓国の防衛外交を表す用語として「国防外交」と「軍事外交」の2つがあり、それぞれ同じような概念で使用されてきた。

○ 韓国軍の草創期においては、対共産主義外交を展開する上での対外軍事関与の色彩が強かった。現在の防衛外交の概念に近い活動を積極的に展開するようになったのは2000年代以降になってからである。

○ 近年、防衛外交活動の量と範囲を拡大している。特に防衛産業装備品輸出を促進するため、防衛外交を積極的に活用している。


<目次>

はじめに
1.韓国における防衛外交の概念と実際
  (1) 「国防外交」と「軍事外交」の混同
  (2) 「国防外交」と「軍事外交」の概念の違い
2.韓国の国防外交の歴史的展開
  (1) 朝鮮戦争ー国際社会からの軍事的支援
  (2) ベトナム戦争ー米韓同盟強化と高度経済成長、そして負の遺産
  (3) 湾岸戦争ー冷戦体制が崩壊し国際貢献の必要性に迫られる
  (4) 対テロ・アフガニスタン・イラク戦争 ― 進歩政権による現実的な政策判断と国際社会への協力
  (5) 李明博政権のグローバル・コリア政策 ― 独自国防外交展開の契機
3.近年の韓国の国防外交の特徴
  (1) 海外派兵
   1) 多国籍軍平和活動
   2) 国連PKO
   3) 国防交流協力活動
   4) 政府緊急救護活動
  (2) 軍事交流(武官部開設・人的交流・軍事会議体運営)
  (3) 軍事協力(共同訓練・防衛産業協力)
おわりに

 → 研究報告書の全文はこちら(外部リンク)
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