ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2020.04.28
本稿はワーキング・ペーパーです
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外食など人との接触を伴うサービスの消費を自粛する動きが拡がっている。サービス消費の自粛は感染拡大を抑える上で不可欠であり、政府や東京都などは消費者とサービスを提供する企業に対して自粛の呼びかけを行っている。一方で、サービス消費の自粛はサービスを提供する企業の売上を減らし、経済的な被害を大きくする面がある。自粛の度合いを測る方法としてはスマホの位置情報などにより人流の変化をみることなどが行われている。このノートでは、より直接的な方法として、クレジットカードの取引履歴を用いて、サービス支出の抑制の度合いを計測する。首都圏在住の35-39才の男性のうち、2020年3月に外食に支出した割合は27%である。これを、感染が本格化する前の1 月の取引履歴と比較することにより、自粛なかりし場合の割合を推計すると、32%との結果が得られた。外食に行く人数が15%減ったことを意味している。外食以外でも娯楽、旅行、宿泊などで同様の自粛効果があった。自粛の度合いを年齢別にみると、30代後半から50 代前半は自粛効果が相対的に大きいが、30代前半とそれより若い層では若ければ若いほど自粛効果が小さくなっている。また、50代後半より上の年代も自粛効果が小さい。自粛の度合いはサービスの種類によっても異なり、娯楽、旅行、宿泊で自粛の度合いが高い。これらのサービス支出を2020年3月に行った人数は通常の年の約半分である。ただし、政府の要請する8 割の自粛には届いていない。・・・