メディア掲載  エネルギー・環境  2020.01.24

日本の石炭戦略

ITI 調査研究シリーズ94号に掲載

 石炭火力発電への風当たりが強い。しかし、日本は石炭火力発電を内外で堅持しなければならない。その理由を述べ、今後の日本の石炭利用の戦略を構想する。

 CO2は、エネルギー問題における唯一の課題ではなく、日本は安全保障上の理由で、電力の安定供給を確保するために石炭火力発電が当面は一定量必要と判断しており、この点を対外的にも説明すべきとする。エネルギーをアキレス腱とする日本が、エネルギー政策の舵取りを間違えて脆弱な国になり、自由・民主・平和といった普遍的価値の東アジアに於ける砦で無くなる事態は、欧米も望まないはずと述べる。

 次に、個々の民間事業者は、石炭火力への逆風に屈しやすい。それでも石炭火力を続けるためには、日本政府の方針がぶれないことが重要であり、日本は、内外の石炭火力発電を、エネルギー安全保障ないし国家安全保障といった国益の観点から維持する必要があるのだから、国は政策・制度環境を整え、民間が安心して事業に取り組めるようにせねばならないと記述する。

 その一環として、日本は、石炭火力が持続可能な開発に資すると考える途上国に働きかけ、その旨を明確に制度化してもらうことが望ましく、石炭火力をどう位置付け、どう活用するのか、エネルギー安全保障・国家安全保障・CO2削減を包含した日本の国レベルでの戦略の策定が必要だと述べる・・・。



全文を読む

ITI 調査研究シリーズ No.94「転換点に立つ資源・エネルギー問題」<br>第3章 日本の石炭戦略