要旨
〇 中国では、過去10年ほどの間に急増した債務を、持続可能なレベルに落ち着かせる取組みが続いている。とくに2016年と2017年の2年間は、「過剰生産能力・過剰住宅在庫・過剰レバレッジの解消、企業コストの引下げ、弱点分野の補足」が経済政策上の重要課題と定められていたこともあって、2018年以降は、同国の債務は全体としては拡大に歯止めがかかったようにみえる。
〇 ただし、債務問題は完全に解決したわけではなく、依然として重い債務返済圧力の下にある国有企業や地方政府がかなり存在している。両者には、返済責任を明確にしたうえで、市場メカニズムを活用した債務リストラを着実に進展させることが求められている。
〇 一方、最近の中国では、デレバレッジの推進や行き過ぎたシャドーバンキングの是正に向けた取組みが、中小企業等の資金繰りに負の影響を及ぼし、景気を冷やしかねないリスクがあることも懸念されている。
〇 同国の金融当局には、金融リスクの解消と景気への配慮という難しいバランスを取ることが求められている。また、金融イノベーションの芽をつぶさないこと、国際金融市場を含む市場との対話を進めることなどの課題も、益々重要になっている。
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中国におけるデレバレッジの進展状況:「過渡期」の難しさ(PDF:704KB)