メディア掲載 エネルギー・環境 2019.06.06
標題の「現代的環境主義宣言(エコモダニスト・マニフェスト)」は、米国ブレークスルー研究所(Ted Nordhaus所長)が同所の基本思想として2014年に纏めたもの。「技術こそが地球環境問題を解決する」というビジョンを明確に示している。本稿は筆者による邦訳の紹介である。
いま読者に紹介する理由は、この「現代的環境主義宣言」が、現在の日本における政策議論を支える理論ないし思想となっていると考えるためである。
いま日本では、地球温暖化対策に関する「長期戦略」が政府で検討されており、そこでは、イノベーションを通じて地球温暖化問題を解決するとしている。また政府と経団連が提唱しているSociety5.0でも、技術によって温暖化問題および持続可能な開発(SDGs)の達成を図るとしている。何れも優れた取り組みである所、共通の思想的基盤を与えるのが本稿である:
「農業、エネルギー供給、林業、居住等の、人間の多様な活動をより集中的にすることによって、より土地の利用を少なくし、自然界への介入を小さく留めることは、人間の発展を環境影響から分離するための鍵である。 そのような変化を社会経済的・技術的に起こすことが経済発展と環境保護の両立の核心であり、人々は気候変動を軽減し、自然を保護して、世界的な貧困を削減することができる。・・・我々は、自分自身を、現実的環境主義者であり、現代的環境主義者であると呼ぶ。我々は、人間が、その並みはずれた能力によって、良き人類世を創っていく、というビジョンを共有している。(要約より)」
本稿が今後の国内の政策(および思想の)議論の参考になれば幸いである。