メディア掲載  エネルギー・環境  2019.01.22

「経済成長とCO2のデカップリング」は可能だろうか?

一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター 隔月刊「エレクトロヒート」 No. 223 (2019) に掲載

1. 経済と環境汚染のデカップリング

 経済と環境汚染の間には、「強い」デカップリングが観察されてきた。

 ここで「強い」デカップリングという意味は、図1で、グラフが右下がりになることを指す。

 図1の横軸は、時間、あるいは「所得水準の対数」である。所得水準(一人あたりGDP等)はおおむね時間に対して指数関数的に増えるから、どちらをとってもグラフの概形は変わらない。

 図1の縦軸は、汚染への暴露水準(人がどのぐらいの汚染に曝されているか)、あるいは地上での大気汚染濃度や、一人あたりの汚染物質排出量等である。この3つの指標も、だいたいどれをとってもグラフの概形は変わらない。


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図1 強いデカップリング


 人類最初の大気汚染は、石器時代に始まっている。人は火を恒常的に焚くようになったが、その煙のために呼吸器系疾患になったことが、出土した人骨から解っている。今でも開発途上国では薪を燃料にして調理や暖房をしており、これは多大な健康被害をもたらしている。先進国では、化石燃料や電力を利用することで、このような屋内大気汚染からはほぼ開放された。・・・


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「経済成長とCO2のデカップリング」は可能だろうか?