ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2018.12.18
企業間の戦略的相互依存関係のために、衰退産業における過剰設備の処理が妨げられる可能性がある。その場合、過剰設備処理を目的とした政策的介入が設備量の調整を通じて効率性を高めることがあり得るが、他方でこうした政策は企業の市場支配力を増大させ、あるいは企業の設備処理行動を歪めることを通じて、効率性を低下させる可能性もある。これらの可能性を念頭において、この論文では、日本のセメント産業で行われた設備処理政策(企業に同時に設備処理を義務づける政策)について検討した。プラント別データを用いた推定の結果、①残存設備の稼働率が上昇したため設備処理政策によって企業の市場支配力は増大しなかったこと、②同政策は設備処理に関する企業の意思決定に歪みをもたらさなかったこと、が明らかになった。
Excess Capacity and Effectiveness of Policy Interventions: Evidence from the Cement Industry(英語) (PDF:340KB)