コラム 国際交流 2018.11.01
先月、最先端ロボット企業Rethink Roboticsの廃業が報じられた(次の2、MIT Technology Reviewの記事を参照)。改めて最先端技術の開発とgoing concernたる企業の経営を両立する事が如何に難しいかを悟った次第だ。
先月8日、米国の政治学者ウォルター・ラッセル・ミード氏がWall Street Journal紙上に掲載した小論("Mike Pence Announces Cold War II")を読み、米国の対中態度が明確に表示されたものとして理解した(次の2を参照)。
世界政治に関し、先月1日、米国の調査機関Pew Research Centerが、興味深い世論調査("Trump's International Ratings Remain Low, Especially among Key Allies")を発表した(次の2参照。Financial Times紙も22日付の社説で触れている)。全体で100ページ以上あるこの調査報告書に関して、筆者が注目したのは次の4点だ。
①米国以外の調査対象25ヵ国の世論調査で、設問「10年前と比べ、次の国は重要な役割を世界に果たしたか」に関して、中国には回答者の70%が、米国には31%の人々が認めている (p. 5)。しかし、ドイツ、オーストラリア、スウェーデンの識者は米国の指導力に対し極めて厳しい評価を下している (p. 42)。米中両国以外で重要な役割を果たした国として、露独印仏英はそれぞれ41%、35%、27%、22%、21%であった (p. 38)。国ではなく個人としての指導者の評価では、メルケル、マクロン、習近平、プーチン、そしてトランプの順となった (p. 35) (前記の最後2つの設問では日本が対象外になっている!!)。
②前述したように、25ヵ国の人々が平均で70%と中国の影響力を強く感じ始めたが、特に韓国、スウェーデン、ギリシャ、オランダ、日本、オーストラリアにおいて、そうした認識を抱いている人々の比率が高い (p. 39)。
③経済力に限って見た時、世界No. 1の強国として世界の人々が認めているのは、米国が39%、中国が34%、そしてEUと日本が共に7%だ。米国の経済力を高く評価しているのは韓国、日本、イスラエル、フランス、ブラジルであり、翻って中国を評価(警戒?)しているのはドイツ、オーストラリア、カナダであった (p. 50)。
④ハンチントン教授が主張する通り「米国こそ、世界でリーダーシップを発揮する国であってほしい」と回答した人々は、25ヵ国平均で63%だ。最も賛同を示した国は日本で回答者の81%がU.S. primacyを支持している。そしてフィリピン、スウェーデン、韓国、オーストラリア、カナダ、オランダ、ポーランドが続いた。翻って中国に期待する人々は平均で19%。特に回答者の比率が高い国はチュニジア、メキシコ、南アフリカ、ナイジェリア、ロシアであった (p. 52)。
世界情勢の目まぐるしい動きに伴い世論も激しく揺れる。この点に留意し調査結果を"おおよその目安"と考えればよいであろう。ただこの調査を通じて筆者が考えさせられたのは"日本の地位・評価"であった。