メディア掲載  国際交流  2018.09.25

正念場にさしかかる中国の金融リスク対応

日中経協ジャーナル2018年9月号に掲載

 中国では、2015 年以降集中的に取り組んできた金融のデレバレッジについて、一定の成果が見られ始めている。ただし、デレバレッジの推進は深刻な信用収縮を招く恐れもある。フィンテックに代表される金融のイノベーションの芽を摘むことなく、金融秩序の安定を確保するために、当局には大胆さと慎重さのバランスをとることが求められている。


中国における債務急増の背景

 中国では2009年以降、国有企業を中心に債務が急増した。これは、08年のグローバル金融危機への対応策として発動された経済刺激策に、地方政府、国有企業、そして銀行が主力である金融機関が積極的に呼応した結果であった。銀行融資、信託融資、債券発行などを原資としたインフラ投資や設備投資は、中国経済を力強く牽引し、09年から11年にかけて、同国は平均9.9%の高成長を実現した。

 この間、中国の米ドル建て名目GDPは10年に日本を追い越し、世界第2位の規模に達している。ちなみに、米ドル建てGDP規模について中国の米国に対する比率をみると、00年の12%から06年の20%を経て、17年には62%へと急上昇を示している。01年末のWTO加盟を機に飛躍的な成長路線に入った中国経済は、グローバル金融危機による打撃を投資主導の成長で乗り越え、国際的なプレゼンスを高めたのである。

 しかし、投資主導による経済成長の持続可能性については、当初から同国内外で疑問の声が小さくなかった。短期間に集中的に実行したインフラ投資の中にはフィジビリティー調査が十分でなかったものがかなり混ざっていた模様であり、また、短視眼的な計画に基づく設備投資の急増は、数年後には過剰生産能力の累増となって製品価格の暴落につながり、債務者が返済資金を捻出できないケースが出始めた。12年以降、経済成長速度が鈍化するにつれ、過剰生産能力、過剰住宅在庫、過剰レバレッジの問題が次第に深刻となり、中国経済の構造調整改革を進める上での大きな障害となってしまった。・・・



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