メディア掲載  エネルギー・環境  2018.08.15

【合理的環境主義者の視点】地球温暖化に日本はどのような戦略で取り組んだらよいか?

一般社団法人 産業環境管理協会 月刊「環境管理」 Vol.54 No.8 (2018) に掲載

地球温暖化は危険なのか?

 地球温暖化が起きており、化石燃料の燃焼によるCO2等の温室効果ガス排出(以下、単に「排出」)がその原因の一つであることは確かである。しかし、どの程度の地球温暖化が起きるのか、じつはよくわかっていない。

 地球温暖化の将来予測には大型計算機によるシミュレーションが用いられてきた。だが、これは過去の自然変動もいまだ十分に説明できていない。そして、かつては急激な温暖化が起きるという予測があったけれども、実はこれは外れていて、どうやら過大だったことが、近年の観測との比較ではっきりしてきた。最先端の科学であるからといって、予測能力が高いとは限らない。そこでシミュレーションに頼らずに、過去の観測データから経験則をつくり、それで将来を予測する「観測分析」という方法も提案されている。この予測では、さほどの地球温暖化は起きない。

 それでも、ある程度は地球温暖化が起きる。それはどの程度危険なのだろうか。これも多くのシミュレーション計算によって予測され、様々なリスクがあると主張されてきた。しかし残念ながら、その中には誇張や間違いも多かった。そして、より本質的な問題として、シミュレーションとは所詮、人間や自然という、極めて複雑な対象のごく一部を切り取って単純化して扱うことしかできない、ということがあった。

 シミュレーションは将来についての洞察を得るための道具としては有用だけれども、その結果を額面通り予測だと思ってはいけない。いつどこでどのような気候の変化があり、そのときにどのような技術があり、人々がどのように適応するかといった複雑な事象をシミュレーションで予測することは不可能に近い。

 そもそも気候とは何か、自然とは何か、環境とは何か。筆者は世界の現場に身をおきつつ、また歴史に学ぶことによって、この問いを探求してきた。・・・


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地球温暖化に日本はどのような戦略で取り組んだらよいか?