メディア掲載 エネルギー・環境 2018.07.13
技術vs政策 ── 環境問題の解決には技術こそ本質
温暖化対策の政策手段は何がよいか、というテーマは、多くの研究者のお気に入りである。排出量取引、環境税、規制、情報的手段、補助金、協定、自主的取り組み、等々......侃々諤々の議論はつきない。だがこれは、それほど重要なテーマなのだろうか?
筆者は、制度の選択というのはたいした問題ではなく、技術こそが重要と考える。というのは、過去の公害問題はかなりの程度、技術によって解決してきたからだ。
自動車排ガスによる大気汚染は、三元触媒等の技術によって解決した。水質汚染は、浄化設備の設置で解決した。発電所からの硫黄酸化物(SOx)の排出は、排煙脱硫装置によって解決した。フロンガスによるオゾン層破壊物質の問題は、代替フロンによって解決した。いずれも、問題が発生すると対策技術が検討され、そのコスト低減の努力が進められて、ひとたびコストが社会として受容可能な水準になると、その実装が進められて問題は解決に向かった。
制度の選択といっても、ほとんどの場合は直接規制、補助金、自主的取り組みが活用されてきた。排出量取引、環境税等の多様な政策手段が検討され、実施に移された例は少ない。その例外に属するのは、発電所や工場からのSOx対策であろう。・・・