メディア掲載 エネルギー・環境 2018.05.30
要約 地球温暖化対策としては、地球の温度上昇を2度以下に抑えることが国際的な目標とされており、このためには長期的には大規模なCO2等の排出削減が必要とされている。この実現のための方向性として、運輸部門においては、自動運転・シェアリングとの相乗効果で電化が進むことへ期待が高まっている。これは運輸部門に留まるものではなく、民生部門・産業部門においても、ICT(AI・センサー・IOT)等のイノベーションとの相乗効果で電化を進める機会がある。かかる「電化イノベーション」のビジョンを検討して共通の期待を形成し、技術開発を進め、ビジネスのエコシステムを発達させていくことが望ましい。
1. はじめに
地球温暖化対策としては、地球の温度上昇を2度以下に抑えることが国際的な目標とされており、このためには長期的には大規模なCO2等の排出削減が必要とされている。これを実現するための手段としては、「電化」(=最終エネルギー需要における電力の比率の増大)と「電気の低炭素化」(=発電電力量あたりのCO2排出量の低減)が両輪であることは、既に国際機関・省庁・産業界・NGO等、幅広い立場を超えたコンセンサスとなっている。以上については詳しくはすでにエレクトロヒート2016年No.210の拙稿「歴史的な認知が進む、温暖化対策における電化の役割」で報告したので参照されたい。
以下本稿では2017年12月7日に開催されたエレクトロヒートシンポジウムにおける講演から抜粋し、「電化イノベーション」による地球温暖化対策の長期戦略について論じる。・・・