メディア掲載  エネルギー・環境  2018.05.14

【合理的環境主義者の視点】サンゴ礁は脆弱か?

一般社団法人 産業環境管理協会 月刊「環境管理」 Vol.54 No.5 (2018) に掲載

海面上昇――サンゴ礁は成長する

 太平洋には、平坦なサンゴ礁がラグーンを囲んでいる環礁が無数に浮かんでいて、飛行機からみると幻想的な風景が広がる。筆者が訪れたキリバスもそうだった。

 島の本体は、古いサンゴ礁の上に、砂が堆積してできている。砂は、サンゴの破片や有孔虫という小さな殻を持つ微生物の死骸から成る。固いサンゴが成長して岩礁ができたり、無数の小さな有孔虫が増殖して砂が供給されたりして、サンゴ礁は常に成長する。

 さらにその外側に、サンゴ礁が島全体を取り囲み、その嶺――礁嶺と呼ばれる――で外洋の大きな波は砕かれる。このため、人が住む島自体には、ふだんは波がほとんどど届かない。つまりサンゴ礁は自然の防波堤として機能している。大洋ではたいてい大波が立っているので、環礁のビーチでほとんどど波がないのは奇跡的に感じる。目を凝らすと大波がかなり沖合の礁嶺で砕けて水しぶきを上げているのがみえる。・・・


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サンゴ礁は脆弱か?