コラム 国際交流 2018.05.10
シリアの幼い子供達が化学兵器の被害を受けて苦しんでいる映像に、世界が心を痛めたのが約1ヵ月前。残念なことにその後の彼等の容態や兵器の存在に関する詳報は数少ない。小誌で情報通信技術(ICT)関連の軍民両用技術(Dual Use Technologies (DUTs))について時折触れている。しかし生化学分野に関しては、これまで触れてこなかった。そして今「安全保障上、生化学分野は核及び情報分野よりも重要な危険性を持つかもしれぬ」と、アシュトン・カーター前米国防長官がハーバード時代に出版した本(Keeping the Edge: Managing Defense for the Future)の中で述べた言葉を思い出し、恥ずかしながら当該分野の基礎知識を友人達から聞いている最中だ。
朝鮮半島情勢が凄まじい勢いで展開している--果して「連邦制統一(연방제 통일)」への道が開けるのか、と内外の友人達と語り合っている。慧眼な読者の中にはご存知の方も多いと思うが、これに関してMITのアセモグル教授とハーバード大学のロビンソン教授は、著書『国家はなぜ衰退するのか(Why Nations Fail)』の中で「38度線の経済学(The Economics of the 38th Parallel)」と題して論じている。
さて経済・技術分野における米中間の競争・協力が、安全保障問題をも絡むが故に一段と複雑になっている。そうしたなか中国の人民解放軍海軍(PLAN)監修の雑誌(«当代海军»)の3月号を開いた途端に驚いた。
米中を中心として全地球的に、transdisciplinary and integrated studiesが急速に進展する中、interdisciplinary communication能力の高い多くの「ヒト」が、専門分野を超えて情報交換を行い、時として移動している。
先月中旬、米国の友人から面白い質問が届いた--「ジュン、Foreign Affairs誌の小論"Profile: Japan's Invisible Leviathan"を未だ覚えている?」と聞かれた筆者は「勿論だよ、ボクは君が覚えていたことに驚いている」、と。この小論は、1995年、外国のジャーナリストが当時の日本の大蔵省に関し書いたものだ。当時、このジャーナリストと議論したのでよく覚えている。そして米国の友人には「財政が危機的状況にある中、MOFが擁する優秀な人材をフルに活用し、今こそ責任あるprimus inter pares (代表的存在)であることを願っている」と伝えた次第だ。