論文  財政・社会保障制度  2018.04.24

所有者不明土地等の現状と固定資産税徴収の課題

月刊『税』(株式会社ぎょうせい)2018年3月号に掲載

はじめに


 年々、自治体の中で税務部門のステイタスが上がっていると感じている。特に、税務情報の重要度が増している。生活困窮者自立支援制度では、税務情報は重要な手がかりである。また、マイナンバー導入により、税務情報はこれまでの賦課徴収のためのデータを越えて、自治体全体の重要なデータになっており、今後もますます重要度が増すだろう。固定資産課税台帳もまた、課税のみならず、自治体内とその地域における重要な不動産・固定資産情報になっていくと考えている。

 各自治体で起きている土地や家屋の不動産問題は、人口減少・少子高齢社会が根底にあり、過疎問題や空き家問題、耕作放棄地、放置林、まちづくり、社会資本整備、公共インフラ老朽化問題などに加え、グローバル化も影響し、さまざまな要因を内包した地方財政の問題と捉えられる。たとえば、空き家問題は、住民からみれば、景観の悪化や防犯上の不安、倒壊の恐れなどが心配事である。税務部門からみれば、固定資産税が滞納になっていたり、死亡者課税になっていたりする場合もある。担当部署は住民の苦情に対応したくても情報がなく、税務部門に相談してくることもあるだろう。

 本稿では、本特集を組むことにした5つの問題意識を説明するとともに、本稿の後に続く横浜市の川井氏、大阪府寝屋川市の岡元氏、北海道倶知安町の柏木氏とのつながりを紹介する。次に自治体をとりまく土地や社会資本整備を述べ、最後に固定資産税徴収に関する私見を述べる。・・・






 この論文は、柏木研究主幹が企画・提案した特集「所有者不明土地等の固定資産税徴収」であり、月刊『税』(株式会社ぎょうせい)2018年3月号に掲載されたものである。

 以下はこの特集に収められた他の論文を柏木研究主幹が要約したものである。