論文  財政・社会保障制度  2018.04.17

財政健全化法施行初期の公営企業と財政措置

公営企業(一般財団法人地方財務協会)2018年3月号に掲載

はじめに


 本稿では、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法法律第94号。以下、財政健全化法と略す)の施行により、平成20年度決算において公営企業会計の資金不足比率が経営健全化基準以上となった北海道美唄市、青森県黒石市、青森県大鰐町、大阪府泉佐野市について、当時の公営企業の実態と財政再建について検討する。また、当初の財政再建策であった公立病院特例債と第三セクター等改革推進債についても概観する。

 4つの自治体に注目した理由は、平成20年度決算の公営企業会計の資金不足比率の数字に引き付けられたからである。北海道美唄市は病院事業会計の資金不足比率が134.0%、青森県黒石市は、温泉供給事業特別会計の資金不足比率が1,417.3%、下水道事業会計が515.1%、観光施設事業特別会計が9,308.1%、青森県大鰐町は、温泉事業特別会計1,441.8%、休養施設事業特別会計316.1%、大阪府泉佐野市は、宅地造成事業会計918.6%であった。

 第1章では、財政健全化法施行後の公営企業の財政状況を概観し、当時、公営企業の経営を改善もしくは整理を推進した公立病院特例債と第三セクター等改革推進債について検討する。第2章では美唄市、第3章では黒石市、第4章では大鰐町、第5章では泉佐野市について述べる。...


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