ワーキングペーパー  グローバルエコノミー  2017.12.01

ワーキング・ペーパー(17-013E) 「Choice of market in the monetary economy」

本稿はワーキング・ペーパーです

 本論文においては、取引に貨幣が必要となるような市場が2種類あり、経済主体がどちらの市場で活動するかを選択するような経済モデルを考えた。一方の市場においては、価格が競争的に決まり、品物の売り手も買い手も市場価格を所与として取引を行う。もう一方の市場においては、価格や取引量は売り手と買い手の交渉によって決まる。本論文は、社会において望ましい金融政策(名目利子率の在り方)を社会厚生の立場から考察し、このような経済では、名目利子率をプラスにすることが最適であるということを示した。最適金融政策の分野では、経済学者のミルトン・フリードマンにより提唱された、名目利子率をゼロ%にして貨幣を保有するコストをゼロにする政策ルール、いわゆるフリードマン・ルールがよく知られている。多くの貨幣経済モデルでは、フリードマン・ルールが最適な金融政策となる。しかし本論文のモデルにおいてはこのルールは最適ではなく、利子率をプラスにすることが社会厚生の面から望ましいことが示された。