ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2017.10.31
この論文では、貿易レジームの変化が工場のライフサイクルにどのような影響を与えたかについて検討する。そのためにここでは、1859年に実施された日本の開港という歴史的イベントに焦点を当てる。創業年に関する情報を含む1902年、1919年時点の工場レベルのデータを用いて、1859年の前の期間と後の期間の間における工場のライフサイクルの相違を検証した。その結果、(1)工場は1859年以降、それ以前より速く成長するようになったこと、(2)この成長加速効果は輸出産業の工場・大都市圏の工場・動力を集約的に使用する産業の工場でより顕著であったこと、(3)1859年以降に参入した工場は参入時点の規模がそれ以前の工場より大きかったこと、が明らかになった。1859年以降の工場成長の加速は、1859年前後の期間をともに含む個別工場に関する長期の時系列データによっても確認された。1859年以降に生じた市場へのアクセスと先進的技術へのアクセスの改善が、工場のライフサイクルに影響を与えたと考えられる。
Market Access, Technology, and Plant Lifecycles: A Natural Experiment from Japan's Opening to Trade in 1859(英語) (PDF:282KB)