メディア掲載 財政・社会保障制度 2017.10.03
2012年5月より始まった厚生労働省中央社会保険医療協議会(中医協)の費用対効果評価専門部会による医療技術評価(HTA)導入の検討は、4年間の審議を経た結果、2016 年4月よりの試行的導入に至った1)。そこで、本「厚労省新HTA 制度」シリーズでは、第1回でその概要2)、また第2回では「費用対効果の良否をどう判定するか」3)、更に第3 回では「判定結果は価格に反映できるか」4)に焦点を当て、論点を解説してきた。
そもそも、今回の新薬価制度の試行的導入は、医療技術の費用対効果を評価することによって、医療費の適正な抑制あるいは低減ができるのではないかという期待から始まっている。しかし、これまでの論点整理からもわかるように、費用対効果の判定やその結果の価格への反映が行われるとしても、それがどのようにして国民皆保険の財政を健全化し、保険制度が持続可能になるのか、必ずしも明確ではない。そこで、このシリーズの最終回では、厚労省新HTA 制度における究極の問題、「持続可能な保険制度を実現できるか」について考えてみたい。・・・
<医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団より許可を得て医薬品医療機器レギュラトリーサイエンスVol.48,No.9,p.588-593(2017)より転載。同機構への許可なく無断で記事転載を禁じる。>