レポート  エネルギー・環境  2017.09.29

気候変動に対応したアジア・太平洋地域における外交政策のあり方は?

 外務省は9月6日、報告書「気候変動に伴うアジア・太平洋地域における自然災害の分析と脆弱性への影響を踏まえた外交政策の分析・立案」を発表しました。キヤノングローバル戦略研究所の杉山上席研究員は、同報告の作成に研究者として協力しました。

 同報告の特徴は、アジア・太平洋地域において、気候変動によりもたらされる災害に対し脆弱な地域を特定するとともに、同じくアジア・太平洋地域において観察される治安・政治・社会状況の不安定性について定性的に分析して、自然科学と社会科学の分析を重なり合わせることで示唆を得る構成となっていることです。

 例えば、環礁国家については、「海面上昇の影響を受けやすいが、首都のある島 において現在発生している問題は、主に社会経済的なグローバル化に伴う人口増加によるものであることに注目する必要がある。国土保全のためには、工学的な管理・対策に加え、生態系を考慮した管理・対策を考慮する必要がある」としています。

 同報告書は、10月下旬にイタリアで開催が予定されているG7「気候変動と脆弱性」作業部会の会合において、日本の貢献として提出する予定です。また、気候変動交渉だけでなく、G7での議論、開発協力や防災、持続可能な開発目標(SDGs)の達成等をはじめとする様々な外交分野においても活用し、発信していく予定です。



関連リンク

報告書「気候変動に伴うアジア・太平洋地域における自然災害の分析と脆弱性への影響を踏まえた外交政策の分析・立案」
関連外務省ホームページ:
「G7気候変動と脆弱性に関する取組」