米国のトランプ旋風は、いまや乱気流と化している。前回の世界診断コラムでの予想通り、トランプ政権は2017年1月20日の発足後わずか7か月で、当初の側近5人衆のうち4人までが辞任・更迭となり、かつてない混乱を極めている。
まず、5人衆のひとり、フリン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、就任後わずか3週間でロシア疑惑により辞任。5人衆のもうひとり、スパイサー報道官は、7月21日、広報責任者へのスカラムッチ氏の起用に反対して辞任。ちなみに、このスカラムッチ広報責任者も、わずか在任10日で事実上更迭。その3日前に、5人衆の3人目、プリーバス大統領首席補佐官がオバマケア廃止法案の失敗の責任を問われて更迭された。
そして8月12日、政権を揺るがす重大事件がバージニア州シャーロッツビルで起きた。白人至上主義者とその反対者グループによるデモ隊が衝突し、死傷者が発生。翌13日、この事件を契機に、5人衆のなかでも最右翼の人種差別的言動で知られ、トランプ政権の「陰の支配者」とまでメディアに評されたバノン主席戦略官兼上級顧問が辞任。その表向きの理由は自発的辞任とされたが、トランプ大統領の娘婿クシュナー上級顧問ら政権内の穏健派と対立し、トランプ大統領からも不興を買ったようだ。