メディア掲載 グローバルエコノミー 2017.04.27
自民党の行政改革推進本部長で前行政改革担当大臣の河野太郎氏は、行政改革の一環として、大学等の研究者が使用する研究費に関し、そのするルールの合理化に取り組んでいる。その目的のため河野氏は、インターネットを通じて研究者に呼びかけ、大学等の研究機関が定める研究費使用に関するルール(ローカル・ルール)、特に不合理な事例を収集している。それらは河野氏のホームページで見ることができるが、ここでそのいくつかを紹介したい。
ある大学では、少額のものも含めて、物品の購入後に事務の会計担当者による検品と、研究者による押印が必要とされる。また他の大学では、教員が研究費で図書を購入する際には原則として図書館を通じる必要があり、インターネット等で直接購入して立て替え払いをするためには、事前に「理由書」と「立替払請求書」を提出する必要がある。
また、会議用の弁当のために、部局長、理事・副学長を含む10段階近い稟議と、個々の副菜の種類明細を含む納品書が必要とされる大学もある。
日本では多くの研究機関で、研究者はこうした繁雑な事務作業のため、研究と教育に費やすべき貴重な時間を削られている。
繁雑な事務手続きと研究者の負担について、税金の無駄遣いや不適切な使用を防止するためという説明がなされるであろう。しかしこうした議論には、研究者の時間の機会費用という視点が欠落している。河野氏が行政改革の立場から、研究費使用に関するルールの合理化に着眼されたのは卓見である。日本の研究者が研究と教育に専念して高い実績を挙げるために、河野氏の取り組みに期待したい。