コラム  国際交流  2017.04.04

米国トランプ政権の米国内評価と対日・対中外交姿勢<米国出張報告(2017年3月1日~16日)>

◇ トランプ大統領あるいはトランプ政権全体に対する米国の有識者・学者の評価は、不確実、予測不能、経験不足など、誰に聞いても厳しい批判的評価だった。

◇ 日本通の専門家は、外交面での経験不足、役人に対する不信など、トランプ政権と日本の民主党政権との類似性を指摘する。今後トランプ政権の政策運営が停滞し国民の大多数が失望すると、4年後の選挙で大敗し、次に誕生する民主党政権が長期安定政権となる可能性が高まると見ている。

◇ 一方、米国では政権交代直後に、新政権が過激な政策方針を掲げることがよくあるが、時間の経過とともに徐々に軌道修正を図り、リーズナブルな政策運営へと移行していくことが多い。現政権もそうした経路をたどるのではないかとの見方がある。

◇ トランプ政権の中枢メンバーは選挙期間中から、エスタブリッシュメントを破壊することを公約に掲げ、政権樹立直後から、その実現を目指して行動している。

◇ 過去30年間、トランプ大統領が一貫して主張し続けている唯一の主張は米国の貿易赤字を拡大させ、米国の利益を害する「不公正な」貿易制度への反対である。これが同政権において中東政策以上の重要課題になるのではないかと指摘されている。

◇ 米国の雇用や各種産業従事者にとって不利な貿易状況は、バイラテラルな交渉によって米国にとって有利なように改めさせるというのが基本的な考え方である。米国の貿易赤字の最大の相手国である中国に対して、赤字削減のための強硬策が採用される可能性が高いとの見方が多い。日本も中国に次ぐ第2の対米貿易黒字国であるため、何らかの対応を迫られる可能性は十分覚悟しておく必要があると見られている。

◇ トランプ政権の重要政策を巡って共和党内での対立が続き、政策運営が停滞する可能性が指摘されている。そうなれば、トランプ政権は国民に対する選挙公約を実行できなくなり、信認を失い、4年後の大統領選挙で敗退する可能性が高いと考えられる。

◇ 安倍首相-トランプ大統領会談の成功により、日米関係はリーズナブルな軌道の上に乗り、日米関係のリスクを軽減する土台が形成されたと見られている。

◇ 4月に予定されているトランプ大統領-習近平主席会談において、北朝鮮への対応が主要議題の一つになると予想されている。トランプ大統領は中国に対して北朝鮮への強く厳しい対応を要求すると見られているが、中国はこれを呑むことはできないとの見方が多い。そうなればトランプ大統領と習近平主席の会談が決裂し、米中関係が急速に悪化すると民主党系の専門家は予想している。


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米国トランプ政権の米国内評価と対日・対中外交姿勢<米国出張報告(2017年3月1日~16日)>