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"新常態"への適応を目指す中国の金融制度改革
論文 国際交流 2017.02.16
"新常態"への適応を目指す中国の金融制度改革
『統計』 2017年2月号(一般財団法人 日本統計協会)に掲載
岡嵜 久実子
研究主幹
要旨
〇 中国では、2001年のWTO加盟を機に、市場化と対外開放を強く意識した金融制度改革が進展した。不良債権処理と株式制への移行を軸とする改革を通じて財務内容を改善させた銀行業金融機関は、2008年末に政府が打ち出した「4兆元の景気刺激策」に呼応して貸出を伸ばし、同国経済の回復に貢献した。
〇 しかしながら、近年、短期間に大量に投入された融資の利払い・返済負担が、地方政府関連機関や国有企業に重くのしかかっている。2015年以来、中国政府は「三去、一降、一補(過剰生産能力・過剰在庫:過剰債務の削減、生産コストの引下げ、弱点分野の補強)」を重点政策課題に掲げ、金融部門に協力を求めている。国有企業の債務削減に関しては、1990年代末の失敗(甘い見通しに立った企業再建計画が破たんし、銀行の不良債権が増加)を繰り返さない工夫が求められている。
〇 金融分野における「市場化の推進」に関しては、資本取引規制、金利規制、金融業務規制が整合的に緩和されることが望ましい。その過程で金融秩序の安定を維持するためには、監督部門と中央銀行の連携体制の強化やモニタリング能力の向上など、リスク管理システムの整備も重要である。
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“新常態”への適応を目指す中国の金融制度改革
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