コラム 国際交流 2017.01.11
謹賀新年。今年も微力ながら平和と繁栄に向けた期待・希望に関する情報を諸兄姉に伝えてゆきたい。
小誌前号(2の欄)に、ロボットと現在の軍隊を統合する際の課題を列記した米国海軍大学校(USNWC)の論文("When Robots Rule the Waves?")を掲げたが、その直後の12月15日、周知の通り、中国海軍(PLAN)が南シナ海で米国無人潜水機(UUV)を捕獲する事件が発生した。中国側報道の中で、国防科学技術大学(NUDT)の張煌氏は「無人潜水機は未来の海戦様式を覆す重要な要因に成り得る(无人潜航器有可能成为颠覆未来海战模式的重要因素)」と述べ、また米国側報道の中で、中国南海研究院の呉士存院長は「中国の安全保障にとり脅威(a threat to China's national security)」と発言している。事件の詳細は別として、ロボットが①軍民両分野に適用される可能性と②米中を含む各国が多種多様な動機から技術開発を競い合う様相、この2点をうかがい知る事件となった。
他方、筆者は昨年末に韓国を訪れ、保健福祉部(보건복지부/Ministry for Health & Welfare)の幹部と面談し、介護ロボットに関して意見交換を行った。韓国の技術水準は、小誌75号(2015年7月)で触れたDRC (DARPA Robotics Challenge)で優勝する程高く、日本の技術陣は安逸を貪ることは許されない状況だ。また、幹部の一人がHKS (Harvard Kennedy School)で、ジェフリー・フランケル教授の指導を受けていたことを知って意気投合し、「少子高齢化が最重要課題の一つである両国は、競争・協力を通じ切磋琢磨しなければならない」と語り合った次第だ。
筆者にとって安倍晋三首相のハワイ訪問は意義深いものであり、嬉しいことに韓国の友人達も高く評価してくれていた。即ち75年前のPearl Harborに関し冷静に考えるための絶好の機会の一つが訪れたのだ。
昨年9月、米国防総省は次世代爆撃機B-21の名が「レイダー(Raider)」であることを公表した。勿論この名は、Remember Pearl Harborとして米国陸海軍が共同実施した1942年4月のドーリットル空襲(Doolittle Raid)にちなんだ名だ。かくして我々は、現在も未来もPearl HarborやDoolittle Raidと伴に生きてゆくのだ。