論文  財政・社会保障制度  2016.07.21

財政再建への道のり-どん底からどのように抜け出したのか<沖縄県座間味村:きれいな海の島のごみと水道問題>

『地方財務』(株式会社ぎょうせい)2016年6月号に掲載

はじめに

 第13回は沖縄県座間味村を取り上げる。沖縄県座間味村にはケラマブルーと言われる、きれいな海があり、国内外からダイバーが押し寄せる。最近ではホエールウォッチングも人気である。

 このようにきれいな海が自慢の座間味村は、実質公債費比率が平成20年度決算において27.4%と早期健全化基準である25%を上回り財政健全化団体となり、平成21年度から平成24年度の4年間の財政健全化計画を策定した。また同時に、簡易水道事業特別会計の資金不足比率も経営健全化基準の20%を大きく上回る57.2%となり、平成21年度から平成23年度の3年間の経営健全化計画を策定した。

 実質公債費比率と簡易水道事業特別会計の資金不足比率が基準以上になった主な要因は、3つの有人島(座間味島、阿嘉島および慶良間島)と空港所在地の外地島から成り立っているため、それぞれに社会基盤整備(上下水道やごみ処理)を行う必要があり、多額の地方債発行が財政に影響したことである。特に大型の公共事業が平成11年度から平成15年度の間に集中したために借金が膨れ上がり、それが三位一体改革による地方交付税の削減と一致した。簡易水道事業特別会計については、これらの要因に加えて、9年連続渇水状態が続いたことによる渇水対策経費の増加の影響も大きい。

 地理的要因と観光産業が中心という産業構造から、水道施設や下水道事業、ごみ処理施設、道路等の社会基盤整備は必要不可欠であるということは理解できる。しかし、最も財政に影響を与えたのは、平成14年度から平成15年度にかけて整備した、総事業費8億8500万円、起債額4億100万円の溶融炉整備事業である。4年ほど稼働した後に故障が生じ、修理ができず再稼働を断念し、現在では、沖縄本島にごみ焼却を委託している。この溶融炉整備事業をはじめ、集中した公共事業のために発行した地方債が財政に大きな影響を与えた。

 座間味村は平成16年度からの集中改革プランから財政再建を開始しており、財政健全化団体に陥ったが、財政健全化計画の終了1年前の平成23年度に財政健全化団体から脱却した。本稿では、座間味村の財政悪化の要因と財政再建策について概観する。・・・


全文を読む

沖縄県座間味村:きれいな海の島のごみと水道問題