その他 国際交流 2016.07.01
キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)は2016年4月22日に、米国のハーバード・ケネディー・スクールのJay K. Rosengard教授のセミナーを開催しました。(モデレーター:栗原潤研究主幹)。これは同セミナーの「発表要旨・質疑応答」です。
発表要旨
全体としてASEANは、加盟国ごとに異なる部分がかなりある。10加盟国で成り立つASEANの中で、インドネシアは世界第4位の人口だが、同じ加盟国のブルネイの人口は約40万人しかいない。GDP(国内総生産)においては、インドネシアの経済規模はかつて1兆USドルであったが、国際市場の影響で近年変化し、今やインドネシアはG20の加盟国として世界一大きい経済国のひとつである。一方、カンボジアのような国では一人当たりのGDPは非常に少ない。アメリカと比較すると、実際にはシンガポールの方がより富裕である。一方で、ミャンマーやカンボジアのようにとても貧しい国もある。成長率も国ごとに非常に異なる。
一般的に、また全体としてASEANの実績はかなり良好に見える。各国を個々に見ると、ただ複雑になるだけである。GDPの大きさにおいて、ASEANは世界で第7位であり、約2.4兆USドルである。2000年から2013年のGDPの実際の成長率においては、ASEANは3位であり、加盟国合計では5%を超える。変動性において言えば、ASEANは比較的安定しているようで、前述の事柄に比べればかなり変動が少ない。全体として、対GDP比で債務を見てみると、ASEANは堅実だと言える。インフレーションは非常に安定しており、2013年はASEAN全体で3%未満である。そのため、ASEAN以外の国々と比較するとかなり良好であるように見える。一人当たりのGDPを2倍にするのに要する年数は、貧しい国ほどより時間がかからないものである。多くのASEAN国家には成長の大きな潜在力があり、これまでかなり順調に成長してきているだけではなく、さらなる成長を実現できそうに思われる。手つかずの成長潜在力が多くあるが、それはASEANにとっての課題でもある。
世界銀行の分類によると、カンボジアは東南アジアの中で唯一の低所得国である。ASEAN諸国を貧困国から富裕国の順に並べると、ミャンマー、ラオス、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、ブルネイ・ダルサラーム、シンガポールの順になる。中所得国の上位5カ国(ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア)にこれから焦点をあてていくが、これらの国は高中所得国に成長するために必死に取り組みを行なっている。・・・
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The Great East Asia - Southeast Asia Divergence: Rich Asian Tigers vs. Asian Kittens Stuck in a Middle Income Trap?PDF:449KB
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ジェイ・ローゼンガード教授セミナー "The Great East Asia - Southeast Asia Divergence: Rich Asian Tigers vs. Asian Kittens Stuck in a Middle Income Trap?"