メディア掲載 財政・社会保障制度 2015.07.09
「地域医療連携推進法人に法人格のない国公立病院が参加できるようにした意味は大きい」。そう主張する松山幸弘氏に、日本の医療制度の実像を踏まえた上で新型法人のあり方について聞いた。
≪「世界に冠たる国民皆保険」は日本の医療界の勘違い≫
■日本の医療制度の特徴を表わす表現として「世界に冠たる国民皆保険」が決まって用いられますが、松山先生は異論を提示しました。根拠は何でしょうか。
松山 日本の医療制度を模倣したいと考えている国はなく、「世界に冠たる国民皆保険」は日本の医療界の勘違いだと思います。
第一に、米国を除く先進諸国は医療の皆保障を様々な方法で実現しており、皆保障を公的保険で実現した日本の制度が一番という理由がありません。
第二に、日本の医療費の対GDP比率は2012年に10.3%とOECD平均の9.3%を大きく上回りました。先進諸国の中で日本の医療介護費が割安であるという根拠が消滅しているのです。
第三に、日本では保険者に対する補助金の公費財源が赤字国債で賄われていることです。つまり国民皆保険は持続不可能な制度になってしまったのです。・・・