レポート 外交・安全保障 2015.01.19
1.概要
2014年11月29~30日、当研究所は第18回シミュレーション「201X年電力危機」を実施した。本シミュレーションは東日本大震災/福島原子力発電所事故以降、全ての国内の原子力発電所が停止し、再稼働の目処が立たない中で、国際情勢の緊迫化に伴うエネルギー供給リスクにどのように対応するか、その際に発生した国内の電力危機をどのように打開するかを探る目的として実施した。
今回のシミュレーションでは、中東湾岸地域にある架空の国においてイスラーム過激派が同国沖合にあるガス田を占拠し、また同国の液化天然ガス(LNG)積出し施設でも爆破事件が発生し、同国から日本向けの天然ガス輸出が停止した状況を想定した。夏期の電力需要が増大する中で、中東地域からのLNG調達が途絶したことから、日本国内では深刻な電力不足が生じることとなった。本シミュレーションで焦点となったのは、短期的事態対応としての①電力供給の安定性を確保するために取りうる手段の追求、②消費電力の調整(節電や計画停電)による大規模停電の回避、③国内各電力会社間の送電網や融通制度の整備、中長期的観点からは④原子力発電所の再稼働による原子力エネルギーの導入の是非などが検討された。本シミュレーションには、エネルギー・電力関連企業、現役官僚、学者、ジャーナリストなど約35名が参加し、2日間の演習を通じて多くの教訓と課題が抽出された。
シミュレーションのチームとプレイヤーは、日本政府(首相官邸・外務省・経産省・警察庁・防衛省)、与野党国会議員、某国政府、電気連合会、某自動車会社、メディア(日本メディア・外国メディア)に分かれた。11月29日(土)午前から翌30日(日)午前までの実質24時間にわたり、刻々と変化する国際エネルギー情勢に対して、情勢を把握し、政策的対応を考え、合意形成、報道などの具体的対応を行った。・・・