ワーキングペーパー  グローバルエコノミー  2014.11.19

ワーキング・ペーパー(14-011E) 「Measuring the extent and implications of corporate political connections in prewar Japan」

本稿はワーキング・ペーパーです

 企業が政治と関係を持つという事象は現代の世界で幅広く観察され、その関係が企業経営に与える影響について、経済学・政治学等の分野で研究者の関心を集めてきた。この論文では、第二次世界大戦前の日本を対象として、企業と政治の関係の広がりを計測し、その関係が企業の収益性に与えた影響を検証した。具体的には、男子普通選挙が実施され、政党政治が戦前のピークをむかえた1920年代末~30年代初めに焦点を当て、まず株式市場で株式が取引されている主要企業の役員と衆議院議員の兼任関係を同定した。その結果、この時期、主要企業の約20%で役員が衆議院議員を兼任していたことが明らかになった。この比率は、現代の日本の1%台よりはるかに高く、現代の世界で最も企業の政治的関係が広がっているインドネシアやマレーシアに匹敵する。

 戦前日本企業の政治的関係の有無の決定要因を回帰分析によって検討したところ、収益性が低く負債比率が高い企業ほど、また電力や鉄道など政府の許認可が重要な意味を持つ産業の企業ほど政治的関係を持つ傾向があったことが確認された。さらに、ある企業が総選挙の結果、新たに政治的関係を得たという事象は、その企業の株価収益率にプラスの影響を与えたことが明らかになった。