世界は今、医療の新たな革命期を迎えている。20世紀までの薬中心の時代から21世紀は高度な医療機器の時代へと、さらには薬でも医療機器でもない再生医療の時代への変化が起こりつつある。また、薬による治療も近年の分子標的薬の登場により、個人の遺伝的な条件の違いによって効きめの異なる個別化医療へと大きく変化してきている。しかしそのような医療技術の高度化は、国民医療費の高騰(特に我が国では10年前からの高額療養費増加)を招く結果となった。
もちろんその背景には、少子高齢化社会への急速な進行がある。厚労省によれば、2015年度の75歳以上人口1646万人(全人口の13%)は、2025年度には約530万人増加して全人口の18%に達するとされる。それに伴って、国の社会保障費(年金、医療費、介護費など)は、2015年度119兆円、2020年度134兆円、2025年度148兆円と増加の一途をたどることが予測されている。・・・