コラム  国際交流  2014.08.12

中国経済は安定持続、日中関係は改善の兆候<北京・武漢・上海出張報告(2014年7月21日~8月1日)>

◇ 第2四半期の実質成長率は前年比+7.5%と、前期(同+7.4%)を若干上回った。輸出が回復に転じた一方、消費は堅調を維持し、投資は伸び率が若干鈍化した。

◇ 大半の政府関係者およびエコノミストは、本年後半の成長率も横ばい圏内で推移し、通年の実質成長率は7.5~7.6%に落ち着くとの見方で一致している。

◇ 第2四半期の都市部の雇用労働者新規増加数は737万人と、前年を1.7%上回り、消費者物価は前年比+2.2%と9期連続で上昇率が3%を下回るなど、雇用、物価とも引き続き安定した推移を辿っている。

◇ 不動産価格の全国平均の前年比下落率を見ると、第1四半期-1.5%、第2四半期-0.8%と下落率は小幅であり、徐々に縮小傾向にある。今後不動産価格の下落幅がさらに拡大する可能性は小さい。ただし、成長率の低下を背景に需要回復のテンポが緩やかなため、過剰在庫の調整には多少時間がかかると見られている。

◇ 本年上半期の日本の対中直接投資(実行ベース)は前年比ほぼ半減している。しかし、この統計データにはタイムラグがあり、実際の投資動向の変化が生じてから統計データ上に反映されるまでには半年から1年程度の時間がかかる。日系大手メガバンクによれば、昨秋以降、日本企業の対中直接投資の拡大が始まっている。

◇ 高い技術力をもつ日本企業は中国において中国・欧米等非日系企業との取引拡大を前提に積極的な事業展開を行っている。ただし、さらなる発展のためには経営判断と意思決定の迅速化への対応力を備えることができるかどうかが新たなハードルである。

◇ 11月APECでの日中首脳会談の実現可能性について、複数の中国の党・政府幹部の言いぶりが明らかに変わっていることを実感した。以前は首脳会談が実現しないことが大前提だったのに対し、今回は実現可能性があることが大前提になっていた。

◇ 中国人有識者の間では7月29日の周永康前政治局常務委員の腐敗問題の立件発表により、反腐敗キャンペーンのヤマは超えており、これ以上元政治局常務委員レベル以上の大物の立件はないのではないかとの見方が多かった。ただし、一部に、当面は一段落するが、その後どこまで追及が続くかはわからないとの見方を示す人もいる。

◇ 最近の日本のメディア報道において、以前は総理が兼務していた中央財経領導小組の組長に習近平主席自身が就任したことが権力集中の傍証として指摘されている。この点について信頼できる筋に確認したところ、中央財経領導小組の組長は1987年以降、一貫して総書記が兼務しているとの事実を確認することができた。


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中国経済は安定持続、日中関係は改善の兆候<北京・武漢・上海出張報告(2014年7月21日~8月1日)>