メディア掲載  グローバルエコノミー  2014.07.03

ようやく一歩踏み出した-解体的な改革案突きつけられた農協-

「改革者」 (2014年7月号掲載)

 これまで日本が行った通商交渉では、常に農業が障害となった。

 ガットウルグァイラウンド交渉では、全ての非関税障壁を関税に置き換えるという"包括的関税化"に対し、コメだけでなく麦、乳製品、豚肉、でんぷんなど輸入数量制限や最低輸入価格制度の下にある品目は全て例外を要求した。最終的にはコメだけ低関税の輸入枠を拡大するという代償を払って、関税化の特例措置を講ずることとした。

 WTO(世界貿易機関)に移行した後のドーハラウンド交渉においても、関税の大幅削減の例外品目をいかに多く確保するかに、多大な労力が費やされた。そのためには低関税の輸入割当枠を拡大するという代償を払わなければならなかったが、その結果政府が掲げる食料自給率向上が実現できなくなることも厭わなかった。

 本来関税の撤廃が要求される自由貿易協定締結交渉でも、農産物関税の維持が譲れない一線となってしまう結果、相手国の工業製品に対する関税を削減・撤廃することは、困難となった。ベトナムとの自由貿易協定でも、80%近い自動車の関税は手つかずに維持されている。・・・

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