ワーキングペーパー  グローバルエコノミー  2014.05.21

ワーキング・ペーパー(14-005E) 「Debt-Ridden Borrowers and Productivity Slowdown」

本稿はワーキング・ペーパーです

 リーマンショック後、多くの企業で資金調達が困難になり債務不履行に陥った。マクロ経済にも持続的で大きな負の影響をもたらした。今回の世界同時不況やバブル崩壊後の日本経済などで見られるように、金融危機が経済成長率と生産性の持続的な低下をもたらすことが知られている。本研究では、金融危機後の低成長・低生産性のメカニズムを明らかにするために過剰債務企業を明示的に扱った経済成長モデルを新たに開発した。金融危機によって過剰債務状態に陥った企業は、借入制約が厳しくなり債務返済が終わるまで借入が困難な状況が続く。十分な借入が受けられない結果、生産は生産能力を下回り続け、マクロ全体の生産性も低下してしまう。過剰債務に陥った企業の割合が大きいほど、マクロ全体の成長率の低下と生産性の落ち込みが大きくなる。また、過剰債務企業の割合が一定割合以上になるとゼロ成長率の均衡に永続的に陥ることも示している。